133 :鬼女日記 2007/02/14(水) 08:29:50 ID:V6OqLp2C0
うちの父がまだ若かった頃の話だけど、ある老夫婦をアメリカの田舎の空港まで
連れて行った事があるそうだ

その老夫婦は父の知り合いで、年取ってから授かった一人息子さんを決して
余裕のある暮らしじゃない中で、いい大学まで出してやって、その後息子さんは
卒業旅行に行ったままアメリカに住み着いてしまって、それでも時折手紙が来て
「夢を追って充実した暮らしをしている」らしい事で安心していたが、暫らくして
その息子さんから「生活の目処がついたから一度こっちに遊びに来たら?航空券を
送るから」って誘いが何度も来るようになったけど、嬉しいものの当時の時代では
おいそれとは老夫婦がアメリカまで行けないし、グズグズしているうちに、
当の息子さんが現地で通りすがりのトラブルに巻き込まれた何かで行方不明に

多分、もう生きてはいない事を覚悟していたものの、諦めきれない老夫婦は
現地に行って、せめて息子さんの足跡を追ってみたい、息子が生きていた証、
誠実な息子さんがどういう風に友人達と暮らしていたか知っておきたいという
理由で渡米を決意

でも英語もろくに出来ない老夫婦が、そんな観光地からも外れた日本人が
殆ど居ない現地に行っても何も出来ないし、そこで英語に堪能だった父が共通の
友人から頼まれて一緒に現地入りしたとか(老夫婦が息子を追って心中することも
心配したらしい)

でも、その追憶旅行は最悪の結果だった、息子さんはスラムの中で薬と酒、女に
身を持ち崩していたみたいで、数少ない友人っぽい連中に会っても、息子さんの
悪行ばかり、強カン紛いの事まで日常的にやっていたり、行方不明も身から出た
錆っぽくて、チンピラ同士のトラブルで消された可能性.が高く、父は出来るだけ
割り引いて老夫婦に伝えたけど、もう住んでいた場所とか、雰囲気とかで老夫婦も
息子さんが思っていた生活でなかった事が察しられたのか、老夫婦は打ちひしがれて
父と一緒に帰国した。