967 :鬼女日記 2016/10/25(火) 23:10:24 ID:C6t
ふと思い出したので投下します。
長文なので分割します。初投稿なんで、わかりにくい部分もあるかと思うけどスルーしてください。


約20年前の、夏の夜の話。
私と彼氏を含めた十数人の友人グループで、数台の車でつるんで深夜のドライブを楽しんでいた時のこと。
いつの間にか「肝試しに行こう」という話になっていた。

しかし、私は大反対。
他の女友達数人も私に同意してくれ、その手の場所に遊び半分で立ち入るのは良くない、と必タヒに肝試し敢行派を説得した結果、折衷案として『問題の建物には入らず、近くに行くだけ』という話に落ち着いた。

問題の建物というのが、崖上のホテルの旧館。
本来ならとっくに取り壊されるハズが、怪奇現象が連続発生した為に取り壊すことも出来ず、廃墟化して放置されているという曰く付きのもの。
今回は、そのホテルの新館(絶賛営業中)から少し下の方にある、暗いけどやや広めのパーキングスペースが目的地となった。
それなら大丈夫だろうと安心しきっていた私達は、道中ワイワイ騒ぎながら移動、あっさり目的地に到着。

途端、私は金縛りにあったように全身が強ばり、後部座席のシートから動けなくなってしまった。
同時に襲い来る、猛烈な寒気。
夜とはいえ夏なのに、まるで冷たいプールに浸かり過ぎた時のように歯をガチガチ鳴らして震えだした。

おかしい、おかしい、おかしい。

パニック状態で叫びたいのに、下を向いたままガタガタ震えるしか出来ないという異常事態。
同じ車に乗っていた彼氏や友人達はサッサと降りてしまい、独り取り残されてしまった。

早く離れなくちゃ、誰かに伝えなくちゃ。
その一心で、何とか首を動かして窓の外……皆がいるはずの方向を見た。
すると……あるはずのものが、ない。
いや、正確には『ある部分だけが歪んだ空間で覆われていた』とでも言えばいいのだろうか?

そのパーキングスペースの中央部分には、車のライトに照らされた大きな石碑があるはずだった。
しかしその石碑だけが、私の視界から排除されてしまっていた。
恐ろしくなり、慌てて視線を下に戻す。